令和2年3月31日
世界中が新型コロナウイルスの感染拡大に揺れる中、公務員人生最後の日を迎えました。
でも実感がない。全くと言っていいほどない。
今日で公務員人生が終わる、という気が本当にしない。
いつもと同じ時間に起き、いつもと同じ朝食を食べ、いつもと同じ時間にいつもどおりに家族に送り出される。「今日で最後だね」という妻の言葉も、定期人事異動で職場を去る時に聞く言葉とそれほど変わらない。
1時間ほど車を運転し、職場に着きいつもどおりやらなければならない仕事に優先順位をつける。
どう考えても定時までに片付く量ではない。
今日で自分のアカウントは抹消されるのだからと、やり残した仕事がないかどうか何度もチェックを行う。
他にも身の回りの片付けや掃除、私物の整理。それからお世話になった人たちに挨拶メールを送信する。
そんなことをバタバタとやっていたらあっという間に終業時刻近く。
それからセレモニーが始まる。今年は諸般の事情で送別会は一切なし。なので各職場での事務的な辞令交付が一応の締めの行事となる。
退職の辞令と立派な花束をいただき、そして最後に退職の挨拶。用意していた言葉を淡々としゃべるが、不思議なことにまだ実感が湧かない。
でも公務員を退職することの本当の意味はわかっている。
それは厳しい現実に飛び込むということであり、そして、泳ぐ手を止めれば溺れてしまうということ、それも家族を道連れに。
実感がないのは、おそらくその先にある厳しい現実に対する不安と緊張の方がはるかに大きいからなのかもしれない。
結局、最終日も残業をして20時過ぎに帰宅。
「終わったね」と妻の言葉。
でも、我が家には花瓶というものがない。
妻に花束を渡すと、花束はきれいだけどどちらかというと鉢の方がいいと言う。
考えた挙句、2Lのペットボトルの上を切って花瓶を作った。
すると今度は飾る場所に悩む、リビングはこどもが誤って倒したりすると大惨事になるからと結局は廊下の片隅に置いた。
すると息子が花の匂いに耐えられないという。
とにかくこんな風にして最後の日は終わった。
一方で、退職にあたり、多くの方からエールをいただきました。
若い時に厳しく指導され数年前に退職した元上司からも。返信を期待して送ったわけではありませんでしたが、数行の返信をいただきました。この転職のきっかけとなった職場で仕事のイロハを教えてもらった上司からの言葉は短くも大きな自信を与えてくれました。
他にも「いつでも、なんでも頼っていい」という言葉をくれた先輩や直接電話をくれた先輩、後輩、たくさんの方から温かい言葉をたくさんいただきました。
本当に感謝です。伝えきれない、とはこういうことをいうのでしょう。
これだけのエールをいただいたので、次会うときに元気な姿を見せられるようがんばろうとあらためて心に誓いました。
やるべきことはやったつもりですが、一つ心残りだったのは、お世話になったすべての人に挨拶ができなかったことです。順番にメールを送っている途中、システムのメンテナンスということで18時にメールが使えなくなってしまったのです。まだまだお礼を言いたい人はたくさんいたのに。
さあ、明日から人生最大のチャレンジがスタートします。
どうなることやらといった感じですが、焦らずのんびりと、細く長くやっていけたらなと思っています。