雑学

『ブレーカーが落ちる』を掘り下げる。仕組みを知って賢く対策

寒い冬の朝、突然家の中が停電!なんてことありますよね。

こんなとき、よく「ブレーカーが落ちた!」とか「ブレーカーがとんだ!」などといいます。

ブレーカーが落ちる??飛ぶ??どういうこと?なぜ停電するの?

知っているようで知らない人、意外と多いのではないでしょうか。

そこで今回はブレーカーが落ちる仕組みとその対策について掘り下げてみます。

電気火災と感電

わたしたちの生活に電気は欠かせません。夕飯を食べるのも髪を乾かすのも夜トイレに行くのも電気がなければものすごく大変。

でも、電気は使い方を誤るととても危険です。

建物の火災のおよそ10件に2件は電気が原因

さらに、誤って電気に触れば大怪我や、最悪命を落としてしまうこともあります

これらは、

・電気火災
・感電

と言って、とくに気をつけなければなりません。

ブレーカーの役割

忙しい朝に停電するのは困りますが、このブレーカー、実はとても大事な役目をはたしています。

その役目とは、次の3つ。

電気火災を防ぐ

・感電を防ぐ

・電気の使い過ぎを防ぐ

電気を使う建物には必ず「分電盤」と呼ばれるものがあります。みなさんも玄関やクローゼットの中で見かけたことありませんか?

ブレーカーはこの中で常に電気の状況を見張っていて、危険を感知すると自動的に電気を切るはたらきをします。

ブレーカーには3つの種類があり、それぞれ役目が違います。

電気火災を防ぐ【安全ブレーカー】

分電盤の右側にたくさん並んでいるブレーカーを安全ブレーカーと呼びます。(サーキットブレーカー、分岐ブレーカーともいいます)

よく見ると「20A」と書かれていますが、使っている電気が20A(アンペアと読みます)を超えると安全のため自動で電気を遮断します。

ブレーカーの上や下に「キッチン」など部屋の名前などが書かれているのは、このブレーカーを入れるとキッチンで電気が使えるようになり、切るとキッチンが停電する、ということを意味しています。

ではもしこの安全ブレーカーがなかったらどうなるでしょう。

部屋のコンセントと分電盤は電線でつながっています。この電線を伝わってコンセントまで電気が流れて行きます。

ブレーカーがなければ、コンセントでいくらでも電気を使えるようになりますが、電線やコンセントが熱くなって焦げたり実際に燃えたりすることもあります

電気を使い過ぎて火災が起こらないよう、安全ブレーカーはとても重要なはたらきをしています。

感電を防ぐ【漏電ブレーカ】

分電盤の左側にある一つだけ大きいブレーカーを漏電ブレーカーと言います。

「電気が漏れる」と書いて漏電ですが、一体どういうことなのでしょう。

電気は地面へと流れる性質があります。

雷が地面に落ちるのもそうですが、たとえば家のどこかに地面への抜け道があれば電気は瞬時にそこを見つけ地面へと逃げていきます。

抜け道ができる原因はいくつかありますが、いちばん危険なのは人間の体が抜け道になる場合です。

コンセントの中に手や物を突っ込むとどうなるでしょう。

人は家の中にいますが、家は地面の上に建っています。このとき電気は体と家を通って地面へと逃げます。そうすると手がビリビリとしびれます。これを「感電」といいます。

普通コンセントの中に手は入りませんが、小さいこどもが何かを突っ込んだりすることがあるので対策をしている家も多いでしょう。

でも危ないのはこどもだけではありません。

たとえば濡れた手でドライヤーをコンセントに差すのはとても危険です。水が電気の抜け道を作るからです。

「漏電」とは、こうして電気が地面へと逃げることを言います。

漏電(感電)が起きた時、それを瞬時に検知して電気を切る、これが漏電ブレーカーの役目です。

電気の使い過ぎを防ぐ【アンペアブレーカー】

以前は分電盤の中についていましたが、最近は別の場所についているので、ある家もあればない家もあると思います。(漏電ブレーカーの隣にさらに大きいブレーカーがついている場合はそれがアンペアブレーカーです)

電気を使いすぎたときに切れるブレーカーでリミッターとかサービスブレーカーとも言われます。

使い過ぎってどれくらい?という方は毎月送られてくる電気使用量のお知らせを見てください。この中に契約アンペアが書かれていると思います。

一般の家庭では10~60Aですが、この数字が大きいほどたくさん電気を使うことができます。アンペアブレーカーも安全ブレーカーと同じように電気を使い過ぎたときに切れる仕組みとなっています。

違いは、安全ブレーカーはその部屋のみ停電、アンペアブレーカーは家全体が停電することです。

このアンペアブレーカー、最近は家の外にあるスマートメーターと呼ばれる電気のメーターに内蔵されているので自分で切ったり入れたりはできません

なので、ブレーカーが切れて停電してもしばらくすると自動的に電気が戻る仕組みになっています。ただし、短い時間に何度も繰り返すと自動では戻らなくなってしまうので注意してください。

「ブレーカーが落ちる」を防ぐには

ブレーカーが落ちる仕組みは大体おわかりいただけたでしょうか。

では、ブレーカーが落ちるのを防ぐにはどうしたらよいのでしょうか。

頻繁にブレーカーが落ちるようなら契約アンペアを上げる

もし

「洗濯機」「ドライヤー」「電子レンジ」

くらいの組み合わせでブレーカーが落ちてしまうようなら契約アンペアが小さすぎるのかもしれません。とりあえず30Aに上げて様子を見てください。

たくさん電気を使うときは時間差使用

エアコンがいちばん電気を使うのは低温時の暖房です。冷えた部屋を設定温度にするためにエアコンはフル稼働します。このときにドライヤーとトースターと電気ケトルを同時に使うとブレーカーがとんだりします。

でもアンペアを上げるのはまだ早いです。アンペアを上げれば電気の基本料金が300円程度上がるので年間4000円程度支出が増えます。

エアコンは設定温度まで室温が上がればそれほど電気を使わなくなります。

なのでタイマー機能を使って家族が起きる前に部屋をあたためるという方法がおすすめです。

ドライヤーや電子レンジを使う数分のために基本料金を上げるのはもったいない

たくさんの電化製品を同時に使うことを避け、時間差で使うことでブレーカーが落ちるのを防ぐことができます。

少し面倒ではありますが、これで停電や基本料金のアップを防げます。

我が家でもたまにキッチンで電気ケトルを使っているのを知らずにうっかりドライヤーを使って停電させてしまうことはありますが、この方法でいまだに30A契約でがんばっています。

いかがだったでしょうか?

今回はブレーカーが落ちる原因とその対策について掘り下げてみました。